コラム
2018/11/18
養育費が支払われないときはどうしたら?
親権や財産分与、養育費など、離婚で必要なことは全て決めてしまい、離婚が決定したとしましょう。ここまで終われば一段落、後は新しい生活に向けて頑張るだけだといきたいところなのですが、実はそうスムーズに新生活へと移行させてもらえないのです。
どういうことなの?と思う方が多いでしょう。実は、離婚する際に決めた養育費を払ってもらえないというケースが後を絶たないんです。
養育費は子供を育てるために必要なお金です。子供を育てるにはお金がかなりかかります。離婚してから自分の収入だけで子供を育てることはとても難しいです。貯金もあっという間に底をついてしまいます。養育費があるかないかで、精神的な負担も大きく変わります。
当相談所の相談者の方も、養育費が支払われなくて困っているというケースがとても多いです。なんと養育費がきちんと支払われる割合は2割程度だという話もあるくらいです。とんでもないことだ、信じられないと思うかもしれませんが、現実として困っていらっしゃる方が多く存在します。
最初の方は養育費を払っていたとしても、段々と支払わなくなるというケースも多いです。最初は子供に対する責任もあって養育費を支払います。しかし、時が経つにつれてその養育費が、支払う人にとっては邪魔な存在になってきます。養育費を支払う側も、新しい生活を始めます。もしかしたら新しい誰かと再婚をするかもしれません。そんなときに、前のパートナーの子供養育費は、手痛い出費、目の上のタンコブのようなものなのです。
子供を育てる責任があるから支払う、という意識が低下していくんですね。もう自分の子供でないのになんでこんなにお金を支払う必要があるんだという気持ちになっていきます。子供ためのお金というよりも、ただの借金としてか見れなくなっていくわけです。そのため、支払いを後回しにするようになり、養育の支払いをしぶるようになるわけです。
養育費を受け取る側からすれば、そんな自分勝手な理屈は到底認められません。きちんと支払ってもわらなければ困ります。子供のためにも、養育費を支払ってもらわなければなりません。
では、養育費が支払われないときはどうしたらいいのでしょうか。今回は3つの段階に分けて、やるべきことをまとめてみました。もしも養育費が支払われないけどどうしたらいいのかわからないという方がいたら、参考にしてみてください。
○連絡をとる
シンプルですが、大きなことです。もしも養育費を支払わなくて、相手から連絡がなかったら、もしかしてこのまま支払わなくてもなんとかなるのでは?というように、都合のいい解釈をされてしまいます。お金の支払いをしぶる人は、自分に都合のいい解釈をしてしまいがちです。そうさせないためにも、連絡をとって、困っていることをきちんと伝えましょう。
電話や手紙で養育費を請求するといいでしょう。手紙で送る場合は、内容証明郵便で送ることがおすすめです。普通と違う郵便ということで相手が慌てて反応してくれる可能性が高まります。また、ちゃんとその日に養育費を求める手紙を送ったという証明にもなります。それで何か法的拘束力を発揮するわけではありませんが、普通に送るよりも効果的です。
また、LINEやツイッターなど、SNSでつながっている場合は、そちらのメッセージ機能を利用してもいいでしょう。これで相手がきちんと反応してくるのか、適当に流したりブロックしたりしてくるのかで、相手がこちらに誠実に対応する気がわずかにでも残っているのかどうか見ることもできます。
相手に連絡する際は、ついつい相手のことを責めてしまいがちです。感情的に話して喧嘩のようになってしまうことがよくあります。しかし、それでは相手が支払いに応じるとは思えません。こちらとしては養育費をきちんと支払わせたいのですから、そうなるように話の流れを持っていく必要があります。
相手に養育費を支払ってもらうためにも、相手に何か事情があるのか、相手の話をきちんと聞くということを忘れないでください。相手の気持ちや事情をきちんと聞いたうえで、こちらの生活状況と養育費がないと子供を育てることができなくて困るということを伝えましょう。感情的にならずに、きちんと一つずつ説明することがポイントになります。
○家庭裁判所に履行勧告してもらう
相手が話し合いに応じない場合、家庭裁判所の助けを借りることがおすすめです。個人でのやり取りだとあまく見て動かない人でも、裁判所からの勧告となれば、諦めて動くことがほとんどです。養育費をきちんと支払いするように、履行勧告、履行命令をしてもらうといいでしょう。罰金が科されることもあるため、この段階で観念して養育費の支払いをしてもらえる可能性が高いです。
わざわざ裁判所の力を借りて無理やり払わせるなんて気が引けるという方もいるでしょう。しかし、養育費の支払いは、元々双方納得の上で取り決めたものです。また、養育費を支払うことは、親だったものとしての義務でもあります。支払うのが当たり前なのです。その当たり前のことをしない方が悪いのですから、気を病む必要はないんです。当たり前のことをしてくださいと訴えているだけなのですから。
○給料の差し押さえ
それでも相手が支払いに応じない場合は、給料の差し押さえを行うことができます。強制執行の手続きをして強引に支払わせるのです。
ただし、相手が収入が大きく減っていた、などの正当な理由がある場合は、養育費が減額されてしまうことは覚悟する必要があります。相手の生活状況はどうなのか、収入はどうなのか事前に把握しておくとスムーズです。この段階になると、弁護士などの専門家に相談しておいた方がいいでしょう。また、どうしたらいいかわからない、このつらい気持ちを吐き出したいという場合は、ぜひ当相談所にご相談ください。適切なアドバイスやカウンセリングを行います。
養育費が支払われない場合は、まずは相手に連絡をとってみましょう。感情的にならずにきちんと事情を説明することが大切です。それでも相手が応じない場合は、家庭裁判所に行って履行勧告や給料の差し押さえをしてもらうこととなります。余計な心労を増やさないためにも、落ち着いて対処していきましょう。