不倫の示談交渉はどうやって進める?慰謝料の相場や示談書の作成方法を紹介

不倫の示談交渉は、裁判を避け、当事者同士で解決を図る有効な方法の一つです。 話し合いによって合意を得られたら「示談書」を作成し、示談の成立を記録しましょう。

この記事では、不倫における示談交渉の進め方や慰謝料の相場、示談書の作成方法について解説します。

不倫における示談のメリット

示談とは、個人間のトラブルを「当人同士の話し合い」で解決することです。
配偶者の不倫が発覚した場合でも、当事者が不倫の事実を認めているなら、裁判を起こさずに示談交渉で慰謝料請求ができます。

示談と似た言葉に「和解」がありますが、和解は裁判所の手続きを通じて当事者間で紛争を解決する方法です。公式な手続きを経るため、法的拘束力が強く、裁判所の記録にも残りますが、時間がかかることがあります。

一方、「示談」は当事者同士が非公式に解決する方法です。柔軟かつ迅速な解決が可能ですが、法的な拘束力は書面の内容次第です。
そのため、示談書を正しく作成することが非常に重要です。

不倫において、示談を行うメリットは、以下の2点です。

精神的負担が少なくて済む

配偶者の不倫による精神的苦痛は計り知れません。 裁判を起こすことで正当な慰謝料を得ることは可能ですが、証拠集めや書類作成、出廷での証言も行わなければならず、多くのエネルギーが必要です。
不倫によるダメージを受けたばかりの精神状態で、裁判準備を進めるとなれば、大変なストレスがかかるでしょう。

一方、示談交渉であれば、比較的短期間での解決が期待でき、精神的負担を軽減することができます。
特に不倫された側の立場になれば、「早く解決したい」「もう忘れたい」と考えるのは当然のことです。
示談による解決は、不倫による精神的負担を軽くし、心の平穏を取り戻すための有効な手段と言えます。

時間と費用を節約できる

裁判を起こすには、弁護士費用や裁判費用がかかります。
さらに、裁判が長引けばその分費用も増大し、経済的な負担が大きくなってしまいます。

不倫の裁判は事実関係の認定に時間がかかることがあり、1年、2年と長期化してしまうケースもゼロではありません。

示談は比較的短期間での解決が可能な方法であり、経済的負担も軽減されます。
早期に生活を再構築し、次のステップに進むためには、示談による解決を目指したほうが近道かもしれません。

不倫相手との示談交渉の進め方

不倫相手との示談交渉を円滑に進めるためには、冷静かつ慎重に対応することが重要です。 必要に応じて専門家のサポートを受けながら、適切な手続きを進めていきましょう。

不倫における示談交渉の進め方、慰謝料請求の流れは、次の通りです。

夫婦間で話し合う

不倫相手への交渉を始める前に、まずは夫婦間で話し合いの場を設けましょう。

不倫の事実について、いつから始まったのか、どこで行われたのか、不倫相手は既婚者だと知っていたのかなどを確認します。
配偶者から事情を聞き出し、その内容を文書にまとめておくことが重要です。

感情的にならず冷静に話し合うことを心がけてください。

示談の条件を決める

次に、示談の条件を決定します。

不倫関係の解消を誓約させることや慰謝料の金額、支払い方法、支払い期限などを具体的に決めていきましょう。

慰謝料の金額は、離婚の有無、子どもの有無、不貞行為の回数などによって異なるため、専門家に相談して適切な金額を決定することをおすすめします。

不倫相手と話し合う

不倫相手と直接会える場合は、示談のための話し合いを行います。

まず、不倫の事実について確認し、配偶者から聞いた話との矛盾がないかを確認します。
その後、慰謝料の金額や支払い方法など具体的な条件を話し合い、合意に達するよう努めましょう。

連絡がとれなくなったり、慰謝料の支払いが滞ったりするリスクに備えて、不倫相手の連絡先や勤務先を確認しておくことをおすすめします。

内容証明を送る

不倫相手と直接話し合うことが難しい場合は、書面での示談交渉を行います。

内容証明郵便を用いて、慰謝料請求の内容を正式に通知しましょう。
慰謝料請求書の内容については、弁護士など専門家に相談することが望ましいです。

示談書の作成

示談交渉がまとまったら、合意内容を示談書にまとめます。

示談書には、不倫の事実、慰謝料の金額、支払い方法や期限、再発防止の誓約事項などを詳細に記載しましょう。
示談書を作成し、署名捺印することで法的拘束力のある合意となり、後々のトラブルを防ぐことができます。

示談書の作成についても、専門家のアドバイスを受けながら進めると安心です。

専門家へのご相談はこちらから

不倫における慰謝料(示談金)の相場

不倫における慰謝料(示談金)の相場

不倫における慰謝料(示談金)の金額は状況によって異なるため、一概には言えません。
主に、不倫が原因で離婚をするのか、しないのかによって差があります。

ここでは、一般的な不倫の慰謝料相場を紹介します。

離婚する場合

不倫が原因で離婚に至った場合、慰謝料の相場は比較的高くなります。
離婚に伴う精神的苦痛や生活の変化などを考慮し、200万円~300万円が一般的な相場です。

ただし、不貞行為の期間や回数、子どもの有無、被害者の精神的なダメージの程度によって増減することがあります。

離婚しない場合

離婚を避けた場合でも、精神的苦痛に対する補償として慰謝料を請求することが認められています。
ただし、離婚しない場合の慰謝料は、離婚する場合に比べて低く設定されるのが一般的です。

不倫が発覚したものの、夫婦関係を継続する場合の慰謝料の相場は50万円~100万円程度です。
この場合も、不貞行為の期間や回数、被害者の精神的なダメージの程度によって金額は変動します。

不倫の示談書を作成するポイント【書き方例】

不倫の示談書を作成するポイント【書き方例】

示談書は、不倫に関する合意事項を正式に文書化するための重要な書類です。

示談書を適切に作成することで、後々のトラブルを防ぎ、不倫問題の再発を防止することができます。

ここでは、示談書を作成する際の重要なポイントと書き方の例を紹介します。

不貞行為の事実を記載する

不倫の示談書には、まず不貞行為の事実を明確に記載します。 示談書にしっかりと残すことで、「不倫をした覚えはない」などの言い逃れを防ぐ目的があります。

【書き方例】
乙は甲に対し、×年×月から×年×月までの間、甲の配偶者である〇〇(以下、「丙」という)と不貞関係にあったことを認める。

次に、慰謝料(示談金)の金額について記載しましょう。
示談書には、慰謝料の支払い期限や支払い方法についても具体的に記述することが重要です。

【書き方例】
乙は、甲に対し、本件不貞行為に基づく慰謝料として、金50万円の支払い義務があることを認め、これを本示談書締結日から30 日以内に、甲の指定する下記金融機関の口座へ振込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙が負担する。

誓約事項を記載する

不倫の示談書には、再発防止や迷惑行為の禁止を目的として、誓約事項を記載します。 具体的には、不倫相手が被害者の配偶者と連絡を取らないことなどを明記しましょう。

不倫の慰謝料は当事者双方で負担するものです。
そのため、不倫相手には、自分の負担分を超えて支払った慰謝料の金額を請求する権利(求償権)が認められています。

【書き方例】
乙は、甲に対して、今後、電話、SNS、面会など手段の如何を問わず、丙と一切接触しないことを誓約する。

求償権の放棄

不倫の慰謝料は当事者双方で負担するものです。
そのため、不倫相手には、自分の負担分を超えて支払った慰謝料の金額を請求する権利(求償権)が認められています。

不倫相手による求償権の行使を防ぐには、示談書にその旨を記載することも重要です。

【書き方例】
乙は、丙に対して、本件不貞行為に関する慰謝料支払い債務に基づく求償権を放棄する。

違反した際のペナルティ

示談書の内容に違反した場合に備えて、違約金などのペナルティを定めます。
示談書の遵守を強制する目的で、違約金は高額にするケースが多いです。

【書き方例】
乙は、甲に対して、本示談書に定めた事項に違反した場合には、1回の違反行為について各50万円を甲に支払うことを誓約する

守秘義務

不倫による示談はプライバシーな内容になるため、守秘義務についても記載しておくのが一般的です。

【書き方例】
甲及び乙は、本件に関する情報をみだりに第三者に対し公開しないことを誓約する。

不倫の示談交渉・示談書作成は弁護士への依頼がおすすめ

不倫における慰謝料(示談金)の相場

配偶者の不倫が発覚し、当人がその事実を認めている場合においては、精神的な負担や時間・費用のコスト面を考えると、裁判ではなく示談による解決を目指すほうが良いケースもあります。

示談交渉や示談書の作成は非常にデリケートで専門的な対応が求められるため、トラブルを最小限に抑え、迅速かつ確実に問題を解決するには、法律の専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士の関与により、感情的な対立を避け、冷静かつ公平な視点で交渉を進めることが可能です。また、示談書に法的拘束力を持たせることで、後々のトラブルを防ぎ、安心して新たな生活を始めることができます。
夫婦関係の修復や、離婚に関するお悩みを受付している一般社団法人あゆむでは、不倫問題に詳しい弁護士の紹介も行っております。

また、夫婦関係の修復・再構築に関する無料カウンセリングも行っておりますので、お気軽にご活用ください。

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