離婚を考えているけれど、母子家庭になった後の生活に不安があるという方も多いのではないでしょうか。実際に、母子家庭の貧困は社会問題の1つとなっています。そこで今回は、母子家庭が受けられる手当の種類や受給資格について、また、母子家庭になるメリットなどをまとめて紹介していきます。
母子家庭の平均収入
厚生労働省の調査によれば、母子家庭の平均年収は200万円程度という結果になっています。18歳未満の子供がいる共働き家庭の平均年収は700万円程度なので、いかに少ない数字かがわかるでしょう。
また、同じ調査によれば、母子家庭の母親のうち、正社員として働いている人は全体の約44%にとどまっています。離婚をしてシングルマザーになったからといって、パートとして働いていた人が正社員に登用されるというケースは少ないようです。育児も大変で、正社員として働く時間がないという人も多いのでしょう。
母子家庭に必要な生活費
母子家庭の平均年収は約200万円、手取り月収に換算すると13.5万円程度です。その金額で、生活費は足りるのでしょうか。
母子家庭の生活費は、子供1人の場合でも月に17万円程度必要だと言われています。内訳は家賃が8万円、食費が3万円、日用品や光熱費に2万5千円、その他の教育費や保険料などが3万5千円程度です。子供が2人いる場合は、20万円程度はかかるでしょう。
母子家庭の平均月収は13.5万円程度ですから、それだけでは生活が苦しいことが分かります。
母子家庭が受けられる手当の種類
母子家庭の平均年収は低く、貧困化が社会問題となっていることから、国は母子家庭向けの手当を支給しています。続いては、母子家庭が受けられる手当の種類や受給資格をみていきましょう。
母子家庭手当の種類①児童手当
児童手当とは、母子家庭だけでなく子供がいるすべての世帯に支給される手当です。受給資格があるのは、中学校卒業までの児童を養育している人です。
児童手当は児童一人あたりに支給されます。月額支給額は、次の通りです。
- 3歳未満:一律15,000円
- 3歳以上、小学校修了前:10,000円 第3子以降は15,000円
- 中学生:一律10,000円
児童手当は毎年6月、10月、2月に、前月分までの支給額がまとめて支給されます。児童手当には所得制限があり、児童を養育している人の所得が所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円に減額されます。
母子家庭手当の種類②児童扶養手当
母子家庭もしくは父子家庭にのみ受給できる手当が、児童扶養手当です。子供が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間、受け取ることができます。
児童扶養手当の月額支給額は、次の通りです。所得に応じて10円きざみとなります。
- 対象児童1人の場合:43,160円から10,180円まで
- 対象児童2人の場合:10,190円から5,100円まで(上記の1人目の額に加算)
- 対象児童3人以上の場合:6,110円から3,060円まで(児童が1人増すごとに加算)
児童手当は奇数月ごとの年6回、2か月分ずつ支給されます。児童扶養手当にも所得制限があり、所得制限限度額以上の所得がある場合は受給できません。
母子家庭が生活保護を受ける条件
生活保護とは、国民がもっている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(日本国憲法第25条より)」を保護するための制度です。
特別な事情があって働けない場合や、元配偶者や自分の両親からの援助も受けられず、児童手当や児童扶養手当を受け取っても生活ができない場合には、母子家庭であっても生活保護を受給できます。
ただし、児童手当や児童扶養手当の金額は収入とみなされ、生活保護受給額から減額されて支給されることになるでしょう。
また、生活保護の審査は厳しく、資産がある場合やわずかであっても収入がある場合には、手当の受給が難しい場合もあります。生活保護の受給は、あくまでも最終手段として捉えましょう。
母子家庭向けの奨学金
母子家庭で生活が苦しくても、なんとか子供を大学や専門学校に進学させたいという方もいらっしゃるでしょう。実は、母子家庭向けの奨学金制度が、いくつか存在します。
全国母子寡婦福祉団体協議会(全母子協)「ひとり親家庭支援奨学金制度」
全母子協と、大手コンビニチェーンのローソンが共同で運営している奨学金制度です。
全国400名の中学3年生と高校1~3年生を対象に、月額30,000円が給付されます。給付型の奨学金なので、返還義務はありません。毎年4月末頃に締め切りになるので、詳細は公式サイトにてご確認ください。
全母子協 公式サイト:http://zenbo.org/
日本学生支援機構「第一種奨学金」
母子家庭向けというわけではありませんが、最も有名な奨学金制度です。
国内の大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)に在学する学生・生徒が対象となる制度で、①学力基準②家計基準の2つの審査があります。
無利息の第一種奨学金は審査が厳しく、1人あたりの世帯年収が低い場合の方が通りやすいとされています。貸与される月額は、国公立大学か私立大学か、自宅通学か自宅外かによって異なります。
日本学生支援機構公式サイト:https://www.jasso.go.jp/index.html
母子父子寡婦福祉資金
厚生労働省が管轄をする、ひとり親世帯を支援するための基金です。
子供の修学資金として、月額96,000円を限度に無利子で借入れができます。高等学校や高等専修学校、短期大学などへの修学資金も借入が可能です。
詳しい条件などは、お住まいの地方公共団体の福祉担当窓口に問い合わせてみてください。
母子家庭向けの家賃補助制度
自治体によっては、母子家庭に住宅手当を支給している場合もあります。例えば、東京都国立市や武蔵野市では月額1万円を限度に支給しており、千葉県君津市では5,000円を限度に支給しています。実施している自治体により支給額は異なりますが、5,000円~15,000程度が相場となるようです。お住まいの自治体に住宅手当の制度がないか、調べてみてはいかがでしょうか。
母子家庭のメリットとは
母子家庭の平均年収や生活の厳しさをみると、やっぱり離婚は難しいと思われるかもしれません。しかし、母子家庭になることはデメリットばかりではありません。
続いては、母子家庭のメリットについて考えていきましょう。
母子家庭のメリット①配偶者と離れられる
配偶者からのDVにお悩みの方や、配偶者がいるだけでストレスが溜まってしまうという方は、配偶者と離れられるだけでもメリットではないでしょうか。子供に悪影響を及ぼすような人であれば、なおさらです。
母子家庭のメリット②子供との絆が深まる
母子家庭になると、生活は苦しくなるかもしれません。それでも、子供とも向き合うことが増え、子供との絆は深まるのではないでしょうか。子供と向きあいながら過ごすことができるのは、メリットだと言えるでしょう。
最後に
今回は、母子家庭の平均年収や生活費、手当の受給資格などをまとめて紹介してきました。一人で働きながら子供を育てることは、決して簡単なことではありません。しかし、配偶者と離れることで得られるメリットもあります。児童扶養手当など、母子家庭向けの支援策も充実してきていますので、離婚後の生活をどうするか、しっかりと計画を立てていきましょう。
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