熟年離婚という言葉を聞いたことがありますか?熟年離婚とは、その名の通り、定年を迎えた熟年期に離婚することを指した言葉です。なぜ熟年夫婦が離婚してしまうのでしょうか?今回は、熟年離婚の原因や熟年離婚に多いトラブルについてご紹介していきます。
熟年離婚とは?
熟年離婚には明確な定義があるわけではありません。一般的には、夫が定年を迎えた後に離婚することを意味する言葉として用いられています。
ちなみに、年齢が60歳以上であっても、結婚数年で離婚した夫婦に対しては、熟年離婚という言葉が用いられることは少ないでしょう。熟年離婚は20年以上の長い年月を一緒に過ごしてきた夫婦が離婚するときに使われるのが一般的です。
2005年には熟年離婚をテーマにしたテレビドラマが放送され、平均視聴率19.2%を記録するなど話題となりました。
熟年離婚の原因は何?
熟年離婚の原因は夫婦によって異なりますが、一般的に考えられるのは、次の3つです。
- ✓ 夫が定年を迎え、家で一日中一緒にいるのが耐えられなくなった
- ✓ 元から不仲であったが、子育てがひと段落するまで離婚を先延ばしにしていた
- ✓ 相手の親の介護が辛い
このように、熟年離婚ならではの様々な原因もありますが、性格の不一致や価値観の違いといった一般的な原因で離婚する夫婦もいるようです。
熟年離婚率はどのくらい?
平成28年の調査によると、離婚した夫婦のうち約17%が、20年以上同居していた夫婦の離婚、つまり熟年離婚であることがわかっています。この数字をみて多いと感じる方もいれば、少ないと感じる方もいるでしょう。ちなみに、平成28年の1年間で37,604組の夫婦が熟年離婚しています。
熟年離婚に多いトラブルとは?なぜトラブルが起こるのか
続いては、熟年離婚に多いトラブルについて解説していきます。
熟年離婚に多いトラブル①年金
専業主婦やパート主婦として長年夫を支えてきた方は、熟年離婚後の生活のために必ず年金分割の手続きを行いましょう。年金分割とは、夫が支払ってきた厚生年金を分割して受け取ることができるようにする手続きです。
夫の同意がなくても、年金事務所で手続きをすれば、半分の額の年金を受け取ることができます。夫が年金分割に合意してくれている場合は、2人で年金事務所に行き、分割割合について個別に設定することも可能です。
年金分割について合意してくれる夫であれば問題ありませんが、年金分割を拒否される場合もあります。「半分受け取るだけでは足りない」という場合は、裁判や調停で分割割合を決定する必要があるため、年金分割の手続きに時間がかかるでしょう。
熟年離婚に多いトラブル②財産分与
婚姻期間中に築き上げた財産については夫婦2人の共有財産としてみなされるため、離婚時には財産分与を行います。財産分与において「どちらが稼いだか」という点は関係ありません。婚姻期間中に購入したマイホームや家財についても財産分与の対象となりますし、夫の退職金も財産分与の対象です。「夫の財産だから悪い」とは思わず、しっかりと請求権を主張しましょう。
ただし、財産分与はもめる場合も多いので、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
熟年離婚に多いトラブル③慰謝料
離婚の原因が相手にある場合には、熟年離婚であってももちろん慰謝料請求が可能です。
配偶者が不倫や浮気をしていたことが発覚した場合や、配偶者から長年ハラスメントを受け、精神的苦痛を受けた場合には慰謝料を請求しましょう。
熟年離婚に多いトラブル④生活費
熟年離婚において問題となるのが、離婚後の生活費です。
長年専業主婦として夫を支えていた方は、離婚時に必ず年金分割や財産分与の手続きをしっかりとしておきましょう。いずれの手続きも離婚成立から2年が経つと出来なくなってしまいます。自分の生活を守るためにも、財産の確保は大切です。
熟年離婚に多いトラブル⑤子供
子供が20歳を超えている場合には、親権を争う必要はありません。しかし、熟年離婚であっても子供の合意をとっておくことをおすすめします。例えば、子供が結婚を考えるタイミングであれば、「あと数年待ってほしい」と提案されるかもしれません。
もちろん、熟年離婚をするにあたって子供の許可は必要ありません。しかし、これからも家族で居続けるなら、子供にも了解を得てから離婚手続きを進めた方が良いでしょう。
熟年離婚の準備!後悔しないために何から始めるべき?
熟年離婚の準備を進めるときには、離婚後の生活を見据えることが重要です。
- ✓ 離婚後の生活費はいくら必要か
- ✓ 財産はいくらぐらい自分のものになるか
- ✓ 年金分割でどのくらいの年金をもらえるか
この3点については、事前にシュミレーションしておく必要があるでしょう。熟年離婚をして生活が苦しくなってからでは後悔しても遅いです。お金については大切なことなので、抜けがないように確認しておきましょう。
最後に
今回は、熟年離婚について解説してきました。20年以上連れ添った夫婦が熟年離婚に至るケースは決して珍しくはありません。熟年離婚を考えている場合は、財産分与や年金分割などの手続きについてしっかり調べ、離婚後の生活が苦しくならないように準備を整えましょう。
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