慰謝料の未払いは時効があることをご存知でしょうか?離婚に関する慰謝料を相手が支払わない場合には、慰謝料の時効に注意が必要です。時効が過ぎてしまった場合、元配偶者から未払い分の慰謝料を徴収することが難しくなります。今回は、離婚の慰謝料の時効について、期間や延長方法を解説していきます。
慰謝料の時効は何年?
離婚に際する慰謝料請求の時効は、配偶者の浮気を知った時から3年間です。この期間内であれば、配偶者の浮気によって受けた精神的苦痛に対して慰謝料を請求することができます。浮気の慰謝料は、配偶者と不倫相手に対して請求ができます。
反対に、ご自身の浮気が原因で離婚に至った場合、この期間内に元配偶者から慰謝料請求が行われない場合には、相手側の慰謝料請求権は消滅します。
慰謝料分割払いの時効、未払いの場合は?
離婚による慰謝料を分割払いによって受け取っている場合、元配偶者からの支払いが途中で滞ってしまう可能性があります。そういった場合には、未払い分の慰謝料を相手側に請求する権利があります。慰謝料分割払いが未払いになった場合の時効は、権利の行使ができる時(分割払いの取り決めが成立した時)から10年間です。
離婚慰謝料の時効の起算点
離婚の慰謝料請求における時効の起算点について、「配偶者の浮気・不倫を知った時」とご説明しましたが、これは「配偶者の不貞行為から生じる精神的苦痛」に対する慰謝料請求権における時効です。慰謝料の種類が変われば、時効の起算点も異なります。
【慰謝料の時効の起算点】
- 不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したことによる精神的な苦痛への慰謝料
→婚姻関係が破綻した時 - 不貞行為が原因で離婚したことによる精神的な苦痛への慰謝料
→離婚した時
このように、浮気を知った時から3年以内に慰謝料請求を行わなかった場合でも、離婚してから3年以内であれば離婚に対する慰謝料の請求ができます。
過去の浮気が原因で離婚…慰謝料請求はいつまで?
配偶者の過去の浮気が原因で離婚となった場合も、慰謝料請求の時効は「浮気を知ったとき」から3年間です。過去の浮気であっても、浮気の事実を知ってから3年以内などの条件を満たせば、慰謝料を請求することができます。
また、離婚の原因がご自身の過去の浮気である場合、現在浮気をしていなくても慰謝料請求に応じる義務が乗じるケースもあるので、注意が必要です。
3年前や10年前の浮気でも慰謝料請求は可能
3年前より以前の浮気や10年前の浮気の場合であっても、以下の条件を2つとも満たす場合については、精神的苦痛に対する慰謝料の請求が可能です。
- ✓ 配偶者の不貞行為(浮気・不倫)を知った時から3年以内である
- ✓ 配偶者の浮気・不倫関係が始まったときから20年以内である
3年前や10年前の浮気が原因で離婚となった場合についても、浮気の事実を知ってから3年が経っていなければ時効は成立しません。しかし、20年以上前の浮気が原因で離婚となった場合には、慰謝料を請求することはできないので注意しましょう。
時効の中断とは?時効期間の延長が出来るケース
相手が慰謝料の支払いに応じない場合には、時効を中断し、時効期間を延長することができる場合があります。時効の中断が認められるのは、以下の4つのケースです。
裁判で慰謝料請求をする
判決が下されれば、10年間延長できます。
内容証明郵便を送る
時効期間を6ヶ月間延長できます。
債務を証明させる
示談書の取付が必要となりますが、相手が認めた日を時効の起算日にできます。
仮差押・仮処分・差押をする
公正証書があれば可能ですが、離婚の慰謝料についてはあまり行われません。
時効が近づいているからと言って、未払いの慰謝料の回収をあきらめる必要はありません。弁護士などの専門家に相談し、裁判による請求手続きを取りましょう。
時効が完成したら慰謝料請求はできない?
時効が完成したからといって、慰謝料請求が不可能になるというわけではありません。相手側が時効について認識しておらず、慰謝料の支払いを認めれば、相手側には支払い義務が生じます。
時効が完成しているのに慰謝料請求されたら
ご自身の浮気が原因で離婚に至った場合、原則として浮気の事実を知られた日から3年が経過していれば、時効が完成していることになります。もし元配偶者に慰謝料を請求されたとしても、時効の消滅を理由に、請求を棄却することが可能です。
配偶者からの慰謝料請求がない場合にも、念のため「時効が完成したので、慰謝料の請求には応じません」という旨の内容証明郵便を送付しておくと良いでしょう。
最後に
今回は、離婚時の慰謝料請求の時効について解説してきました。原則として、離婚の慰謝料は3年以内に請求が必要ですが、相手側と支払いの取り決めを行っている場合には、10年以内であれば未払い分を請求することができます。また、時効の完成が迫っている場合についても、裁判を起こすなどして「時効の中断」を行えば、時効期間を延長することは可能です。
とはいえ、相手側に慰謝料の支払い意思がない場合の慰謝料の請求は難しいのが現状です。また、ご自身が支払う立場にある場合、過去に支払いに関する取り決めをしていたかどうかで時効期間が大きく異なります。いずれの場合にもご自身だけで判断するのは難しいため、弁護士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。
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