なんらかの理由で離婚に至る場合、慰謝料の相場がどれくらいなのか気になるという人も多いでしょう。離婚における慰謝料とは、離婚に至った原因や離婚そのものによる精神的苦痛に対する損害賠償のことです。すべての離婚に対して必ず慰謝料の支払いが伴うとは限りませんし、慰謝料の金額は、離婚となった原因や相手の年収、婚姻期間などによって大きく変わります。ここでは、離婚の慰謝料はどのようにして決まるのか、また離婚の状況別に慰謝料相場はどれくらいなのか解説します。
慰謝料相場の幅は広い!離婚の慰謝料はどうやって決まる?
離婚における慰謝料とは、精神的苦痛に対して支払われる損害賠償です。
例えば、一方の浮気・不貞行為やDVなどが原因で離婚することになった場合、離婚原因である浮気・不貞行為やDVによって精神的苦痛を被った方が、精神的苦痛を与えた相手に慰謝料を請求することができます。
また、離婚そのものが相手に精神的苦痛を与える行為だと判断された場合は、離婚を申し出た方が相手に対して慰謝料の支払いを行うことになります。
離婚における慰謝料の相場は幅広く、離婚の原因、相手の年収、婚姻期間などによって大きく変わります。
離婚慰謝料の金額に影響する事由とは
離婚慰謝料の金額に影響する事由としてあげられるのは、次のようなことです。
- 離婚原因
- 相手の年収
- 婚姻期間
- 不貞行為の有無
- 現在夫婦の住まいの状況(同居・別居)
- 子どもの有無
これらの状況を鑑み、夫婦の話し合いによって慰謝料の金額が決定されます。
協議離婚か裁判かによっても慰謝料の相場は変わる
慰謝料の金額は、協議離婚をするか裁判で争った後に離婚するかによっても、慰謝料の金額が変わります。
離婚の方法としては、次のような方法があります。
協議離婚
協議離婚とは、夫婦で話し合いをして、お互いに離婚に合意し、市区町村役場に離婚届を提出することで離婚が成立する方法です。審判離婚や裁判離婚のように法的に認められる離婚理由は必要がなく、市区町村役場に提出した離婚届が受理されると離婚が成立します。
調停離婚
夫婦の話し合いが合意に至らない場合や離婚に向けた話し合いがスムーズに進められない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができ、これを離婚調停といいます。
離婚調停では、家庭裁判所の裁判官、または調停官、調停委員が、離婚に向けた夫婦の話し合いの場に立ち会います。中立の立場の調停委員がお互いの言い分を聞き取り、必要な場合は調停委員による提案なども受けながら、お互いに納得できる合意点を話し合います。離婚についてだけではなく、離婚後の子どもの親権や養育費、財産分与などの取り決めなども同時に話し合うことができ、調停によって決まった内容は裁判所の判決と同じ効力を持つ「調停調書」にまとめられます。
審判離婚・裁判離婚
離婚調停で話し合い、お互いに離婚には合意したし、離婚条件についても概ね合意がされているのに、あとわずかな意見の食い違いによって、なかなか離婚に至らないという2人に対して、家庭裁判所の裁判官が離婚の審判を下すという方法があります。これが審判離婚です。「離婚や離婚条件に対して双方が合意していること」「わずかな意見の食い違いがあるだけの状況」など、利用できる状況が限定されているため、あまり利用されることはありません。審判で下された結果に異議申立を行うと審判離婚は無効になります。
また、もしも離婚調停で合意が得られなかった場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判によって離婚の審判をしてもらうことができます。ただし、裁判によって離婚を認めてもらうためには、民法で定められている離婚事由に該当している必要があります。逆にいうとこの離婚事由に該当していない理由の場合、裁判による離婚が認められないということです。
離婚慰謝料は双方が話し合って決めるもの、相場や決まりはない
離婚慰謝料は、離婚原因や離婚方法によっても金額が違うというご説明をしましたが、離婚慰謝料は双方の話し合いによって決まるものです。離婚原因が相手の浮気・不貞行為であったり、DVといった暴力行為であった場合、弁護士から「慰謝料相場から〇〇円程の慰謝料が請求できる」と言われることがあるかもしれませんが、それはあくまでも慰謝料相場のお話です。
離婚の原因別に慰謝料金額の決まりがあるわけではありませんので、慰謝料相場どおりの金額が必ず支払われるわけではないのです。
離婚原因別の慰謝料相場とは
続いて、離婚原因別の慰謝料相場を具体的にご説明します。
一般的に、不貞行為(浮気・不倫)が原因で離婚する場合の慰謝料は、100~300万程度と言われています。金額は、「不貞行為の回数」「不貞行為の期間」「不貞に至った経緯」「子どもの有無」などを考慮して金額が決められます。
また、DVなど配偶者の暴力が原因で離婚に至った場合の慰謝料は、50~300万円程度で落ち着くことが多いようです。「どんな暴力を受けたか」「暴力を受けていた期間」「ケガなどの被害の程度」を考慮して金額が決められます。直接的な暴力ではなく、暴言や人格否定などの言葉の暴力であっても、内容が悪質な場合は慰謝料請求が認められるケースもあります。
離婚原因が「性格の不一致」の場合の慰謝料相場
性格の不一致や宗教など信仰の違いが原因による離婚の場合は、慰謝料の請求が難しくなるケースが多いです。
なぜなら、性格の不一致の場合、離婚原因があきらかに相手側にあるということを証明するのが難しいためです。たとえば、「離婚を了承してもらえるなら慰謝料を支払う」などの提案が相手側から会った場合は、慰謝料をもらえるケースもありますが、性格の不一致を理由に相手側に慰謝料を請求することは、基本的には難しいと言えるでしょう。
離婚の慰謝料相場は相手の年収次第?
慰謝料の金額決定において、相手の年収はとても重要です。たとえ高額な慰謝料を請求したとしても、相手に支払う能力がなければ支払いは困難だからです。たとえば、相手に住宅ローンの返済などが残っているといった場合など、収入だけでなく、相手が今後支払わなければいけない金額についても考慮する必要があります。
一般的に離婚の慰謝料は300万円以下になることが多いですが、必ずしも300万円程度の慰謝料が請求できるということではありません。相手の年収に応じた慰謝料を請求し、相手側の合意を得るというのが一般的です。
最後に
今回は離婚における慰謝料相場について解説してきました。
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