結婚を目前に控えていた、このまま結婚式の日を迎えると信じて生活していたのに、ある日突然婚約破棄をされてしまったら、精神的なダメージは計り知れないものがありますね。相手に対する怒りや悲しみの思いから慰謝料を請求したいと考える人も少なくないでしょう。そこで今回は、婚約破棄された場合に慰謝料を請求できるケース、請求できる慰謝料の相場、慰謝料請求の時効についてご紹介します。
慰謝料が請求できる婚約破棄のケースとは
婚約破棄されたからといって、残念ながら全ての人が慰謝料を請求できるわけではありません。まずは慰謝料が請求できる婚約破棄のケースについてご紹介します。
婚約成立が認められる条件
婚約とは結婚を約束する契約のひとつなので、婚約破棄は「契約不履行」に該当します。慰謝料を請求するためには婚約が成立していたという事実が必要です。婚約が成立したと証明できる要素としては、次のようなことがあります。
- ✓ 婚約者として家族や親族に紹介した
- ✓ 結納をかわした
- ✓ 婚約指輪をもらった
- ✓ 結婚式場の予約をした
婚約破棄を理由に慰謝料を請求する場合は、慰謝料を請求する相手に「婚約した覚えはない。普通の交際をしていただけだった」などと言い逃れされないように注意しましょう。口約束だけではなく、客観的に2人の婚約を証明する事実があるほうが、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。
逆に、婚約成立の客観的事実が無いという場合は、契約そのものが成立していないということになり契約不履行(婚約破棄)を理由に慰謝料を請求することができない可能性があります。
婚約破棄による慰謝料請求が認められる条件
婚約破棄の理由によっても、慰謝料を請求できるケースとできないケースがあります。 婚約を破棄する側に、婚約を破棄する正当な理由があった場合には、慰謝料の請求は認められません。婚約破棄の正当な理由としては、次のようなものがあります。
- ✓ 相手が既婚者であることを隠していた
- ✓ 結婚直前に相手が失踪した
- ✓ 相手に肉体関係を強要された
- ✓ 婚約中に相手が精神疾患を患ってしまった、体に重い障害を負ってしまった
- ✓ 同意がないのに勝手に結婚の取り決めをされた
- ✓ 相手に資産以上の借金があることが判明した
- ✓ 婚約中に生活に支障をきたすような経済状況になってしまった
一方で、これらの理由に該当しない場合、例えば婚約解消の理由が、「性格の不一致」、「家族に反対された」、「宗教の違い」、「心変わりをしてしまった」などの場合は、婚約解消の正当な理由とは認められないため、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
婚約破棄の理由が正当かどうかは、それぞれの状況によって異なります。相手が正当な理由だと主張していたとしても、納得できない理由で婚約破棄をされてしまった場合には、ひとりで悩まず専門家に相談してみましょう。
マリッジブルーによる婚約破棄は慰謝料請求できる?
マリッジブルーとは、結婚を控えた人が、突然不安や気分の落ち込みを感じ、精神的に苦しい状態に陥ってしまうことをいいます。マリッジブルーは女性特有の症状と思われがちですが、実は男性にも多い症状です。
相手の将来に責任を持たなければいけないというプレッシャーや経済的なプレッシャー、本当にこの人でいいのかという不安からマリッジブルーになってしまう男性も少なくありません。
マリッジブルーが婚約破棄の正当な理由として認められるケースは多くはありません。しかし極度のマリッジブルーでうつ状態になってしまい、婚約を継続することで体の状況が悪化する可能性が高いと認められた場合は、正当な理由として認められる可能性もあるでしょう。
マリッジブルーを理由に婚約破棄を申し込まれた場合は、婚約破棄について詳しい法律の専門家に相談してみることをおすすめします。
婚約破棄で請求できる慰謝料の相場は?
一般的に婚約破棄で請求できる慰謝料の相場は、50~200万円といわれています。ただし、婚約期間の状況によっては一般的な相場よりも多く請求できるケースもあります。
- ✓ 婚約を機に結婚退職した
- ✓ 結婚式場の予約や両家の顔合わせなど結婚の準備が進んでいた
- ✓ 婚約破棄により中絶を余儀なくされた
- ✓ 婚約破棄が原因で体調が著しく悪化した
- ✓ 相手の年収が高い
このような内容の場合は、相場よりも慰謝料を多く請求できる可能性が高いでしょう。
婚約破棄の慰謝料請求に時効はある?
婚約破棄を理由に慰謝料を請求する場合にも時効はありますので注意しましょう。
婚約破棄の慰謝料請求には、「契約不履行」と「不法行為」の2つのパターンが考えられます。不法行為とは、婚約者がいるにも関わらず浮気した(第三者と肉体関係を持った)などの行為のことです。
契約不履行で慰謝料請求する場合の時効は10年、不法行為で慰謝料請求する場合は、訴える場合は浮気(第三者との肉体関係を持った)事実を知ったときから3年です。
ただし、婚約破棄の後、時間が経過すればするほど慰謝料を取れる可能性は低くなりますので、慰謝料を請求する場合は早めに行動を起こすことが大切です。
最後に
婚約破棄で慰謝料を請求する場合、婚約していた事実を証明すること、正当ではない理由で婚約破棄されたことを証明することが大切です。相手の言い分が婚約破棄の正当な理由として認められるか認められないかはそれぞれのケースで異なるため、納得できない理由で婚約破棄されてしまった場合は、ひとりで悩まずにまずは専門家に相談することから始めてみましょう。
一般社団法人あゆむでは、婚約破棄に関するご相談を無料で受け付けております。男女間トラブルを専門としたカウンセラーが多数在籍しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。